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農業機械メンテナンスナビ共通メンテナンス項目>エンジン 焼き付き原因と対策
 農業機械等で深刻な故障となるエンジンの焼き付き(焼き付きと思われるような症状を含む)の主な原因と対策です。エンジンの焼き付きではエンジンの載せ替えやオーバーホール。
 機械自体の買い替えが必要となる深刻な場合となるため、可能な限り予防することが重要です。
主な原因
 エンジンが焼き付く原因は様々ですが、農業機械の使用においては、主に熱とオイルの問題によるものです。これらは、使用方法を見直すだけでも大きく改善することができます。

・熱の問題
 異常な高温状態からの冷却不全及び、冷却の誤り。
・オイルの問題
 オイルの循環不足。オイル不足。混合油等のオイルの質及び、オイル希釈の誤り。
・エアエレメントの問題
 燃焼用の空気を取り込むエアクリーナエレメント等が破損し、ゴミがエンジン内部を傷つけます。

熱の問題の原因と対策
 焼き付けを起こすほどの発熱では、機械の能力不足による最大出力による長時間作業。熱取りのための、冷却運転の未実施。放熱機能の低下による異常発熱があります。これらの原因として、
・能力不足による使用
 機械の性能を上回る作業を無理に行う為に、エンジンを最大出力で吹かし続けることで異常高温により壊れます。作業に見合った出力の機械で作業を行う。過負荷状態である場合には、過負荷を継続させずに低出力による冷却運転を挟みながら使用することが重要です。
・冷却運転の未実施
 エンジンを作業後に直ちに止める(緊急時を除く)ことで、高温状態のまま停止して焼きつきます。停止前に出力を下げて使用する。アイドリング状態で数分間待機させてから止めることで予防できます。
 あまり知られていませんが、4サイクルエンジン等のエンジンオイルも循環することでエンジン内部の熱を放熱させる重要な役割を持っています
・放熱能力の低下
 水冷式ではラジエータの故障。ラジエータの防虫網目詰まり。空冷式ではエンジンが放熱するために空気の流れる部分や、直接空気に触れる部分などにゴミが付着して熱がこもり、異常な高温となることで焼きつきます。定期的な掃除により予防することができます。

・エンジンオイルの問題の原因と対策
・オイルの循環不全
 エンジンオイルを交換しないことによる汚れによって、ノズルなどが詰まり循環不全により壊れます。
 大きなゴミが混入することでオイルパン内のストレーナが詰まる。オイルエレメントを交換せずに汚れにより詰まっても同様のことが起きます。
 定期的かつ適切なエンジンオイルの交換等を行い、オイル性能の維持とゴミが堆積を予防します。
・オイル不足
 エンジンオイルが少なくなることで、循環されずに壊れます。オイルの漏れ。オイルの燃焼によりエンジンオイルは徐々に減っていくため必要量が入っているか、確認が重要です。

2サイクルエンジンのオイルによる故障等
・混合油等のオイルの質
 2サイクルエンジンの機械では、混合油の混合比率が明記されています。しかし、実際の使用で重要なことは、機械に明示された混合比率でなく、オイル側の比率。ガソリン量に対するオイルの油膜形成の能力です。このため、2サイクルエンジンを動かすためには、オイルの質にあった混合比が必要です。
 何も考えずに2サイクルエンジンオイルを全て、25:1で使用する。
 「50:1で使用できる」という特定の商品の表記を誤解し、25:1用のオイルを50:1に使用するとトラブルの原因となります。オイルの種類により25:1から100:1まであります。オイル表記にあった混合比率が重要です。

・2サイクルオイルの混合比率の例
・50:1用オイルの使用
 50:1用の2サイクルエンジンオイルを、農業機械の表記に合わせて25:1で使用するとオイルが濃すぎます。このため、廃棄に白い煙がまじる。エンジン内部がオイルの煤で不必要に汚れる場合があります。
・25:1用オイルの使用
 25:1用のオイルで混合比を50:1で使用すると、エンジンが焼き付きを起こして壊れます。1~2回程度の使用であれば、見た目上で問題なく動いていることもあります。しかし、確実にエンジンにダメージを与え寿命が短くなります。

 通常、オイル量が少ないタイプの方が煤や白い煙が発生しにくく、マフラー等の詰まりによるトラブルが少なくなります。しかし、毎日や毎週使用するという多用する場合でない限り、あまり気にする必要はありません。 

混合油の市販品と自作について
・市販の混合油ガソリン
 ホームセンターにそのまま使える混合油が市販されています。この混合比率について、40:1等その混合比率は製品により異なります。混合比率に関係なく、用途として使いたい機械がかかれていれる混合油を使用する2サイクルエンジンであれば、問題なく使用できます。
 これは、オイル性能(油膜形成能力)と混合比地率があっているためです。

・混合油の作成について
 混合油は、その混合比率さえあっていれば自分で作ることが可能です。自分で作成すると割安ですが、基本的に長期保管をすることができません。混合から1か月以内を目安に使い切る必要があります。
 また、その成分の大半がガソリンですので保管する容器についてもガソリン用の缶のに保管する必要があります。混合油のオイル量等を計量しやすいポリタンク等が市販されていますが、あくまで混合作業用です。混合後に放置すると気化して危険ですので、適切な保管を行うことに注意が必要です。

・混合油の市販品の使用について
 ホームセンター等で売られている混合油は割高です。しかし、手軽に使えて長期保管(1年保管可能等)が出来る物が多くあります。特に2サイクルエンジンでは燃料に起因するトラブルが非常に多いため、1回に使う使用量が少ない場合には無用なトラブルを回避するためにかなり重宝します。
 私自身、シーズン中でも1か月に1~2リットル程度であるため割高でも市販品を使用しています。

・エアエレメントの問題
 エアクリーナエレメント(以下、エアエレメント)は、エンジンに取り込まれる空気をフィルターによるろ過作用でゴミを除去しています。エアエレメントが破損すると、ゴミがそのままエンジンに吸い込まれます。エンジン内部では吸い込まれたゴミがピストン内を傷つけることで機密性が低下する等でして故障に至ります。

メンテナンスにより焼き付きを予防出来る項目

・注意事項
 管理人は機械業者ではありません。長く農業機械を使っているだけの完全な素人であり、これまでの苦い経験をベースに情報を収集をして紹介しています。本職の機械屋さんが見ると、かなり違うかも知れません。農業機械の使用に際し、無用なトラブルにより支障がでないためであることを理解して、参考にして下さい。
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