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農業機械メンテナンスナビスピードスプレイヤーのメンテナンス方法>スピードスプレイヤーの冬季保管の方法(凍結予防対策)
 スピードスプレイヤー等の動力噴霧器の冬季における長期保管では、ポンプ内等で水が凍結することにより、深刻な破損となるためその予防対策は重要です。使用する地域の最低気温と保管場所の環境にあわせた必要な予防対策を行うことが重要です。
凍結した場合の影響
 薬液や洗浄時の水がスピードスプレー内部に残り凍結すると、凍結時に膨張により動噴ポンプ、薬液タンク、ノズル、各配管等に亀裂が入り破損し深刻な故障が発生します。
 冬季では凍結の原因となる水を抜き取る水抜きを行う。または、不凍液(凍結防止剤)に置換しておくことで深刻な故障を予防することができます。
 凍結予防の方法では、適切に使用した場合の凍結防止剤の方が効果が高く得られることができます。

凍結予防の方法
・水抜き(排水)による方法
 本ページで紹介している方法です。手軽に行うことができ、寒冷地を除く多くの地域で対応しています。しかし、異常気象による予想外の低温の発生や、内部に水が残るなどの作業に問題があると凍結する場合があります。
 コンプレッサーによるエアーが使用できる場合、各部の水抜きの際にエアーを通して水を押し出すとより高い効果を得ることができます。
・不凍液(凍結防止剤)による方法
 凍結防止として使用できる液体では、スピードスプレーを含めた防除機用凍結防止剤が販売されています。この他、手軽に入手できるカー用品のLLC(ロングライフクーラント)を使用することができます。
 不凍液を使用した方法は本ページ下部にて紹介しています。

噴霧系統の凍結予防対策

  • 噴霧コックの開放
  • ・噴霧コックの開放
     動力噴霧器内の排水を促すため噴霧コックを全て開放します。
  • 動噴ポンプの排水
  • ・動力ポンプからの排水
     動力ポンプ側面及び下部にあるドレインを緩めて内部の水を排水します。
     動力ポンプに使用していないノズル取付口がある場合、コックを開放して排水します。
  • 薬剤ドレインからの排水
  • ・薬剤ドレインからの排水
     薬剤タンクの水を抜くためのドレインを開放し、内部の水を抜きます。
  • ストレーナからの排水
  • ・ストレーナ―からの排水
     薬液から固形物等の異物を除去するためのストレーナーを外し、ストレーナ内と動噴ポンプ系路上の水を排水します。
  • 噴霧ノズルからの排水
  • ・噴霧ノズルからの排水
     噴霧コックに対応した一纏めの噴霧ノズルの内、最も下部(低位置)にあるノズルを外してノズル側(ノズル及びノズルを固定している配管)の水を排水します。
  • ラジエターからの排水
  • ・一般の長期保管対策

    ・ラジエターからの排水
     ラジエターの不凍液(LLC)の不凍温度を下回る最低気温の場合、不凍液(LLC)を排水します。濃度を高めることで凍結予防できる場合、補充する分のみを排水して継ぎ足します。
    ※継ぎ足し場合、濃度が拡散するようエンジンを始動させ十分にラジエター内部で不凍液を拡散させる必要があります。
    方法が不明な場合の参考ページ:
    共通メンテナンス項目 > ラジエーター液交換
  • タイヤの変形
  • ・タイヤの変形予防
     長期保管によるタイヤの変形を予防するため、使用時より空気圧を10%程度高めておきます。
     地面に直接駐車しておく場合は、鉄板やベニヤ板等の上に駐車します。
     又は、
     月に1回程度エンジンを始動させてタイヤの設置面を変える方法でも変形を予防できます。
  • グリスアップ
  • ・グリスアップ、注油
     駆動部にグリ―ス、ワイヤー部等に注油し錆等の腐食を防止します。
    方法が不明な場合の参考ページ:
    スピードスプレイヤーのメンテナンス方法 > スピードスプレイヤーのグリスアップ
  • 防錆処理
  • ・防錆処理
     錆落とし、塗装が剥がれた個所の塗装、グリース・オイル等の付ける等して錆による腐食を予防します。
    防錆の参考ページ:防錆処理の方法
燃料タンクの補充
 ディーゼル機械では、結露による燃料タンク内の水の混入を予防するためタンクを(満タン)軽油で満たしておきます。燃料が少なくタンク内に大きく空間が残っていると気温の変化によりタンク内の空気が外と息をするため、徐々に混入する水の量が増えていきます。

不凍液(LLC)等を使用した凍結対策
 車のラジエーター等に使用するLLC(ロングライフクーラント)を使用する方法では、凍結予防とともに冬季の間の内部の防錆を図ることが出来ます。作業自体は手軽に行えますが、使用後の不凍液(LLC)は適切に廃棄する必要があります。
 なお、防除機用不凍液を使用すると農機専門店等での取り寄せが必要となるだけでなく、車用のLLCと比較して高額となります。価格の目安:各希釈タイプで防除機用不凍液5リットル5,000円程度。車用LLC2リットル1,000円程度。
作業手順:
1.薬液タンクに不凍液と希釈するための水を入れる。
2.噴霧コックを閉じて動噴ポンプを動かし内部循環によりよく混合する。動噴ポンプを動かし混合することで同時に循環系統の水を不凍液に置換することができます。
3.各噴霧コックを夫々開けてノズル先端(噴霧コック対応した最も遠い箇所のノズル)から不凍液(凍結防止剤、LLC共に着色されている)が出るのを確認して噴霧コックを止めます。ノズル先端から出たことで経路上にある配管の置換が完了しています。

希釈濃度:
 LLCや凍結防止剤に製品毎に異なりまります。パッケージの凍結温度一覧表を確認し、余裕をもった濃度に希釈します。
希釈濃度の例:
・過去の最低気温が-0~-5  → -15℃以下
・過去の最低気温が-5~-10  → -25℃以下など。
 万が一凍結すると修理費が多額になるため、LLCや凍結防止剤が余っても全量使用することをお勧めします。

LLCの廃棄方法:
 ラジエーター液に使用される不凍液LLC(ロングライフクーラント液)の主成分であるエチルグリコールは甘い匂いがしますが、毒性があり人や動物に有毒です。
 使用後(春先)の廃棄では適切に処分することが必要となります。
 廃棄ではガソリンスタンドや車の整備工場に持ち込む。オムツなどに吸収させて燃えるゴミとして処分することができます。
 詳しくは、農業機械メンテナンスナビ>共通メンテナンス項目>ラジエーター液交換
>「LLC(クーラント液)の廃棄・処分方法」 へ

 噴霧圧力が上がらない原因と対処方法 へ

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