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農業機械メンテナンスナビトラクターのメンテナンス方法>トラクターロータリー爪の交換方法
 トラクターのロータリー爪は使用することで徐々に磨耗する消耗品です。磨耗により細く痩せた爪を用いると作業効率が低下し、何れは強度不足により変形や折れて欠損します。折れての欠損や、規定の大きさまで磨耗が進んだ場合には爪(ナタ爪)を交換します。
交換時期
 ロータリーに付けられたナタ爪は、使用時間や土壌により磨耗する速度が違います。目視で交換時期を判断します。
 交換の目安・・・
 新品状態より半分程度に磨耗したとき。先端の地面に触れる箇所の幅が20cm以下となったとき。変形又は、爪が折れたとき。

交換品、使用工具
・交換品
 爪・・・形状により ナタ爪、タイガー爪、イーグル爪、ゼット爪(ナタ爪の強化版)、シルバー爪、快適爪、代かき爪など。
 小馬力の一般トラクターはナタ爪、又はナタ爪の強化品が多く用いられています。また、同じ爪でも取り付け位置により右向き・左向きと形状の異なる2種類の爪で構成されています。
 本ページでは、1枚300円程度の汎用ナタ爪を用いています。
 ボルト及びナット・・・高負荷による耐久性の高い17mm又は19mmの専用ボルト(ピッチが細かい)が用いられています(100円程度)。汎用のステンレスボルトは強度が足りず数時間の使用でぐらつきが発生し使用できません。

・使用工具
 メガネレンチ(17×19)、ラチェットレンチ(17×19)、ハンマー 又は、農業用爪交換レンチ(約3,000円程度)
 ナットが錆びて回らない時:トーチ、グラインダー(ナットが錆びて回らない時にナットを切断して外します。)
 纏めて交換する場合、農業用爪交換レンチ又はインパクトレンチ等の電動工具がないと作業が大変です。

・作業上の注意
 作業中にロータリーの回転による事故を防ぐため必ず作業中はエンジンを停止します。また、挟まれ防止に油圧バルブを閉める。支えとなる支柱及びチェーンでロータリーの落下防止措置をとって作業を行います。

トラクターロータリのナタ爪交換

  • 爪交換を行うヤンマートラクター
  • ・爪交換を行うヤンマートラクター

     ロータリ全体が使い込まれ、爪全体が磨耗及び数本が欠損しています。
     爪全体の交換が必要な状況ですが今回は欠損している箇所のみ交換を行います。

  • 折れた爪
  • ・折れた爪※1

     磨耗と老朽化により折れたナタ爪です。
     折れているため、爪の形状(右向き・左向き)が識別できませんが、爪は固定されたナットの向きに曲がるように取り付けられています。
     この写真の場合、折れている爪はナットが右側に付けられていることから右向きの爪となります。

  • エンジン停止(安全措置)
  • ・エンジン停止(安全措置)

     ロータリーを触れる作業に入る前にエンジンを停止します。また、挟まれ防止に油圧バルブを閉めてロータリーが下がらないようにします。

  • PTOのギア操作
  • ・PTOのギア操作

     ロータリーを回したいときにはPTOをニュートラルにする。ナットを回す時など固定したいときにはPTOのギアを入れます。

  • 潤滑剤の使用
  • ・潤滑剤等の使用 

     さび付いたナットを緩み易くするため、浸透潤滑剤を吹きかけ馴染ませます。写真ではKURE5-56を用いています。なお、固着が酷いしたナットの場合、安易に浸透潤滑剤を吹きかけるとナットを舐めて外せなくなる原因となります。固着がひどいときは、
     共通メンテナンス項目>外れないナットの外し方 を参考に固着を剥がしてナットを外します。

  • ナットを緩める1
  • ・ナットを緩める1

     農業用爪交換レンチがないため、コンビネーションレンチを使用してナットを緩めます。専用工具でない場合、工具が短いためかなり力のいる作業です。

  • ナットを緩める2
  • ・ナットを緩める2

     ナットが腐食により硬く回らないため、PTOのギアを入れてコンビネーションレンチをハンマーで叩いて緩めます。ビクともしない場合は、トーチでナットを暖めて作業を行う。ナットを舐めた場合はナットをグラインダーで切断するなどして外します。

  • 爪の取り付け箇所
  • ・爪の取り付け箇所

     爪を取り外した取り付け位置です。
     ボルトを差し込む側は、17mmの笠が固定できる構造となっています。

  • トラクターの交換爪とボルト
  • ・爪及びボルトの交換品

     専用ボルト及びナタ爪の交換品です。ナタ爪は差し込み口の口径及びネジ穴の位置が同じでないと使用できません。
     差し込み口の口径や穴の位置は基本的にトラクターメーカーを問わず同じとなっています。
     右向き左向きの普通爪と、右向き左向きの偏芯爪の違いがあります。

  • 交換したナタ爪
  • ・交換したナタ爪

     交換に差し込んだ新品のナタ爪です。
     他の刃が磨耗しているため、バランスをとるために同様に磨耗した中古品が理想ですが中古品がないために新品を折れた歯の交換に使用しています。

  • 爪の差込
  • ・爪の差込

     形状は合っていますが取付の口径はピッタリとなっているため入り難いことがあります。入らない場合は爪をハンマーで叩いて差込みます。
     ハンマーを使用すると新品の爪の塗装剥がれます。気になる場合は爪をタオル等で包んで叩きます。

  • 爪の締め付け
  • ・ボルトの締め付け

     ボルトを差し込みスプリングワッシャーとナットをレンチで締め付けます。

    ・緩み難い締め付け方法
     締め付けの際、爪が地面により押し付けられる方向に寄せて締め付けることで緩みを防止することができます。写真では足で爪を地面に押し付けられる方向に向けて押し付けた状態でナットをレンチで締め付けています。

  • トラクター爪の緩み点検
  • ・緩み点検と増し締め

     新しい爪を取付後は緩みが発生することがあります。5分程度使用しナットの緩みが無いかをレンチをあてて点検します。
     写真では点検と増し締めを兼ねてレンチあて足で締めつけています。交換したナット全てを同様に行い作業終了です。

※1 爪の向きについて
 爪の向きは耕運作業に大きな影響を与えます。基本的に爪の向きは変えずに取り付けます。ボルト及びナットは爪の向きが判断できるようになっています。爪の向きがわからない場合、ナットがある方向に爪が向くように取り付けます。

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