- 農業機械メンテナンスナビ>ハンマーナイフモアのメンテナンス方法>ハンマーナイフモアの異常振動原因と対策
- ナイフを回転させたときに異常振動(ブレ)が発生すると、回転軸に大きな負荷が加わることで深刻な故障の原因となります。異常振動の原因は回転するドラムや取付けられたフリーナイフの重量バランスが悪くなったことで発生し、その多くが消耗品の交換等のメンテナンスで解消することができます。
自己点検等で対応できる内容:
・ロープなどの巻付き
草刈り作業時に、園芸用ロープのポリエチロープ、防鳥網、針金などが切れずにドラムやフリーナイフに巻付くことで発生します。
巻付きを除去することで解消することが出来ます。作業時にロープ類を巻き込んだときは使用を中断し、エンジンを停止してロープ類が巻き付いていないか確認・除去してから作業を行います。
・カバー内に堆積した付着物
作業時に巻き上がる土や草などがカバー内側に付着堆積して大きくなることで、回転フリーナイフに干渉することで異常振動が発生します。
大きく堆積した部分を除去することで解消することが出来ます。カバー内側の塗装が剥がれ、錆が発生すると土などが付着し易くなり、塗装等による防錆の実施や定期的にカバー内を清掃することで予防することができます。
・フリーナイフの固着
フリーナイフの取付部が錆等により固着して動かなくなることで、回転時に全てのフリーナイフが外側に伸びないことで重量バランスに偏りが発生します。
取付部に注油(潤滑油)を使用して固着をなくすることで解消することが出来ます。
注油では、強力に固着していてもクレ5-56等で比較的容易に解消することが出来ます。しかし、クレ5-56では揮発が早く再発し易いです。固着が解消したら清掃後にスプレーグリスやオイルスプレーを使用すると再発し難くなります。
・フリーナイフの欠損
フリーナイフが石や支柱、切株など固い物にぶつかるなどにして刃に大きな欠けが発生することで重量バランスに偏りが発生します。
部分的に新品の刃に交換するとバランスに偏りが発生するため、基本的に刃を全数新品に交換することで解消することが出来ます。
止むを得ず欠損した刃のみ交換する場合、他の刃と同程度に摩耗した中古の刃を使用するか同じ重量になるようにディスクグラインダー等で研磨して使用します。人為的に研磨する場合、刃先を尖らせると、その後の摩耗が早くなるため他の刃同様に丸みを帯びた形状に研磨することが必要です。
・フリーナイフの偏った摩耗
取付けられたフリーナイフは、作業状況や構造状の理由により一部の摩耗が早く摩耗状況に偏りが発生する場合があります。定期的に刃の交換等を行っていれば大きな問題になりませんが、長期(大きく摩耗する限界)に使用する場合には偏った摩耗により重量バランスに偏りが発生します。
刃を全数新品に交換することで解消することが出来ます。
外注修理やパーツ取り寄せが必要な内容:
・回転ドラム(フリーナイフ取付部)のブランケットの摩耗
経年による錆による腐食や摩耗によりブランケットが痩せて小さくなることでて重量バランスに偏りが発生します。ブランケットは回転ドラムで突起部分にあたるため腐食し易く、定期的に防錆を行うことで予防することが出来ます。
また、回転ドラム両端のブランケットはカバー側面に付着した土等との摩擦により特に摩耗し易いです。カバー内を定期的に清掃することでも予防することができます。
痩せたブランケットは溶接による肉盛りすることで直すことができ、業者による修理が必要となります。
・回転ドラム(フリーナイフ取付部)のブランケットの欠損
フリーナイフが石や支柱、切株など固い物にぶつかる衝撃や、経年による金属疲労などでのブランケットが欠損することでフリーナイフが外れるなどして重量バランスに偏りが発生します。
ブランケットを溶接による取付が必要となるため業者により修理が必要となります。
・シャフト取付部とベアリングの摩耗、破損
回転ドラムのシャフトやベアリングは、経年劣化により内部のベアリングの油切れ等により摩耗や破損が発生します。ベアリングの破損等による大きな抵抗や摩耗によるガタツキがあると異常振動が発生します。
ベアリングはパーツを農機販売店等で取り寄せることで交換することが出来ます。シャフトの取付部が摩耗による痩せた場合には業者により修理が必要となります。
しかし、ベアリングの交換にははめ込まれた軸を外すためにギヤプーラー等の専用工具が必要となります。
・回転軸の変形
支柱や切株、大きな岩などの障害物にぶつかることで回転軸が変形することで重量バランスが崩れます。変形した回転軸の交換やぶつかった衝撃により取付部の歪み等がある場合には修正が必要となり、業者により大掛かりな修理が必要となります。
異常振動発生時の点検箇所
-
・カバー内部の確認
回転ドラムやフリーナイフ等全体の異常を確認します。エンジンを停止して手で問題なくドラムが回るかを確認します。土などの付着堆積により抵抗が大きく回転し難い場合にはカバー内部の清掃が必要です。 -
・固着したフリーナイフ
合わさったペアのフリーナイフが取付部の軸に錆等で固着することで動かない場合、注油して動くようにします。 -
・偏った摩耗や欠損したフリーナイフ
刃先の一部が変形。他の刃に比べると全体に摩耗により痩せたフリーナイフです。他の刃の状況と比べて異なる刃がある場合には原因となっている可能性があります。※ -
・ブランケットの摩耗
フリーナイフを取付けるブランケットです。摩耗により角の部分が痩せてきています。大きく痩せると原因となっている可能性があります。※ -
・破損・回転軸の変形
シャフト取付部にはベアリングが使用されています。ドラムに力を加えてガタツキがあれば内部のベアリングの破損や軸が摩耗しています。
ナイフドラムの両端に取付けられたフリーナイフや取付部のブランケットは、カバー側面に付着した土などとの摩擦。際にあるため作業負荷が大きいなどで他の刃に比べて摩耗が大きくなります。
特にカバー内部の清掃頻度が少ないと、フリーナイフだけでなく取付ボルトやナット、ブランケットも摩耗して痩せることで重量が軽くなってしまいます。
カテゴリトップへ戻る:ハンマーナイフモアのメンテナンス方法