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農業機械メンテナンスナビ刈払機のメンテナンス方法>チップソーの刃が飛ぶ原因と対策
 草刈り機の刈払機に使用されるチップソーは先端のチップが外れて飛ぶことがあります。チップが飛ぶことは刃の寿命が大きく低下するだけでなく、作業者や周囲に危険が伴います。チップが飛ばないことは、作業効率を高めるだけでなく作業の安全のためにも大切です。
チップが飛ぶことによる影響
 回転刃の先端に埋め込まれた硬いチップは、外れると高速で周囲に飛んでいきます。草刈作業時は、普段でも飛び石などがあるため周囲は危険ですがチップが飛ぶと飛び石以上に危険なため注意が必要です。
 私自身、適切な保護具を使用していなった時に飛んだチップが顔(目の下数cmの位置)に刺さったことがあります。
 また、高速で回転する回転刃チップが外れ、重心バランスが崩れると異常振動の原因となります。異常振動は大きな故障や、ナット等に大きな負荷がかかることで回転刃の脱落など思わぬ事故に繋がる恐れがあります。
 異常振動が発生したときには直ちに作業を中断する必要があります。

チップが飛ぶ原因と対策
 チップソーのチップが飛ぶ原因は、安物による粗悪品や石等にぶつけた衝撃が原因と思われがちです。しかし、価格が高い信頼できるチップソーを使用しても管理や用途が異なると刃が飛びやすくなることに注意が必要です。
・チップの固定方法
 チップソーの販売価格は用途による違いもありますが1枚600~1万円近くするもので様々です。安価なチップソーはチップと台座の固定(溶着)が弱いため飛びやすい物が多いです。
 目安として価格がさほど高くなくてもJIS規格品(JIS刻印があるもの)はチップが台座に深く固定(溶着)され飛び難いです。
・チップへの衝撃負荷(過負荷)
 石や縁石などにぶつけると、回転刃の先端にあるチップが衝撃による過負荷によりチップが外れます。石などがある地形では、石に当たらないように刈り高を高い位置にして作業を行う。または、価格が高くなりますが石に強いと表示された高耐久のチップソー(例:津村鋼業のチップソーF型ハイパーなど)も販売されています。
・チップソーの保管方法
 チップソーの刃先のチップはタングステンを母材とした粉末焼結合金が多く使用されて、非常に丈夫で錆び難いものが多いです。しかし、台座の種類は様々であり多くが錆による腐食の影響を受けます。特にチップ取付部の錆はチップの固定(溶着)を低下せるため、使用後には水分がない状態でグリスやオイルスプレーを吹きかけ錆を防止するなど処置が必要となります。
・チップソーの用途違い
 高価なチップソーを使用しても用途が異なるとチップが飛びやすくなります。
 高価で切れ味が良くても刃数の少ない下草用(一年草)のチップソーで雑木や枝打ちを行うとチップが飛びやすくなります。
 直径が数センチ(50mm以下)の雑木が生える草刈りでは、刃数の多い山林用(刃数60P程)など用途に合ったものを使用します。
 下草用は柔らかい草を巻き込み易いよう刃数が少なく、山林用は刃数が多いことで風圧により柔らかい草が刈り難いです。しかし、山林用は刃先の負荷が分散されることでチップが飛び難く、雑木でも刈り易く設計されています。
 経験上、雑木(50mm以下)が生える草刈りでは、1枚4,000円の下草用に比べ、1枚2,000円山林用の方がチップが飛び難く長持ちします。
・チップソーの慣らし運転
 新品のチップソーを最初から高回転で作業を行うとチップが飛び易い傾向があります。
 新品のチップソーの交換直後(使いはじめ)では、石など硬いものへの衝突に特に注意し、低中回転で柔らかい草での作業を行う慣らし運転を行うと、その後の高回転での作業でもチップが飛び難くなります。
 なお、新品のチップソーは切れが良いため、慣らし運転を意識して不必要に高回転で作業を行わないだけでチップ飛びを軽減することができます。

チップの飛んだチップソー

  • チップが欠けて飛んだ箇所
  • ・チップが欠けて飛んだ箇所

     チップが残った個所とチップが欠けて飛んだ箇所です。チップ自体の品質が悪いと石など硬いものに当たっ際に欠け易くなります。

  • チップが脱落して飛んだ箇所
  • ・チップが脱落して飛んだ箇所

     チップが根元から脱落した箇所です。チップの固定(溶着)が弱い。固定部に錆があるとチップの根元から外れて飛び易くなります。

  • チップソーJIS表示
  • ・チップソーJIS表示

     JIS規格のチップソーに表示されているJIS表示です。
     JIS表示があると製品により差がありますがある程度チップが飛び難いことを期待できます。

  • 下草用と山林用のチップ
  • ・下草用と山林用のチップ

     下草用34Pと山林用60Pです。
     山林用は刃の間隔が狭いことでチップ1枚当たりの負荷が小さくなることで雑木等に対してもチップが飛び難くなります。

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