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- 車同様、大型の農業機械は冷却のためラジエーターが使用されています。ラジエーターが故障するとその修理費が高価となるため定期的な冷却水の補充と数年に一度の冷却水(クーラント)の交換を行います。
・補充の目安
ラジエーター(冷却水の予備タンク)冷却水が物理的に減れば水道水を補充します。
・交換の目安
冷却水(LLC ロングライフクーラント)には寿命があります。冷却水が古くなると防錆効果が低くなりラジエーター内部で錆が発生し、腐食よりタンクに穴があいたり、錆が配管に詰まるなどしてその他の故障を誘発します。腐食防止に古い機械のメーカー指標で2~3年毎に交換を行います。
管理人は、冷却水(LLC ロングライフクーラント)の性能が年々向上していること。農業機械は年間の稼働時間が短く、LLCの劣化原因の一つである高温となる時間が短いことを考慮し、5・6年に1回程度の交換をしています。
なお、色の違い等については、「ラジエーター液(LLC)の色の違い」へ
スピードスプレーヤのラジエ-ター液の交換
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・エンジンルームのラジエーター
SS(スピードスプレーヤ)のエンジンルームです。中央に写るキャップがついた黒い部分が冷却水が入ったラジエーターです。 -
・ラジエータキャップーを開ける
冷却水を排出するための空気の取り入れ口となるラジエーターキャップを先に外します。
※エンジン始動後は高温となって危険です。必ずエンジンが冷えてから作業を行います。エンジン停止後、30分以上の経過が目安です。 -
・冷却水ドレイン
ラジエーターの下部に冷却水を抜くためのドレインがあります。写真のドレインは、六角ナットタイプで外すと冷却水が流れ出ます。 -
・冷却水(LLC ロングライフクーラント)の排出
緑色の冷却水です。錆などが混じり所により赤茶色が混じった冷却水が排出されます。
ラジエーターキャップを閉めた状態でも排出されますが、勢いが弱く排出に時間がかかります。
廃液は有毒なため垂れ流さず、廃棄用のBOXや受け皿などで受けて処分します。※3ページ下部参照 -
・ラジエーターの洗浄
冷却水を補充する前に水道水を通して内部を洗浄します。洗浄には市販の車用ラジエーター洗浄剤を用いることもできますが古い機械では使用はすすめていません。※2ページ下部参照
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・ラジエーターの洗浄
冷却水のドレインからの排水が透明な水道水となったら排水を閉じ、水でラジエター満杯にします。エンジンを始動しポンプが回るまで(15分以上)運転して再び排水して洗浄します。時間があれば洗浄作業を数回繰り返します※4ページ下部参照
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・冷却水(LLC ロングライフクーラント)と水を補充
市販の車用LLCをラジエーターに補充します。LLCは主に赤と緑が市販されています。可能であればもとのラジエーター内の冷却水と同一の色を補充します。寒冷地の場合、冬季に凍らないようにLLCの記載倍率を確認して補充します。
本交換作業では濃縮LLCを1本(2L)を入れて、不足した分に水を補充しました。LLCは2リットルで1,000円程度で市販されています。※1ページ下部参照
・LLCと水の撹拌とエアー抜き作業
エンジンを始動させてラジエター内の冷却水を通水により撹拌させます。内部に残った空気が放出され、水面が下がります。水面が下がったら下がった分水を補充し、ラジエーターキャップを閉めます。ラジエーターの構造によっては水面が下がらない場合もあります。
エンジン温度が十分に暖まり内部のポンプが稼働して十分に撹拌する(20分程)運転させて終了です。ラジエータが冷えたら水面の高さを確認し、不足がないかを確認します。水面が下がっている場合、水を補充し終了です。
※1LLCの濃度と入れる順番について
ラジエータには、先に濃縮LLCを入れてから水を補充します。LLC濃度は防錆のため必ず30%以上で使用します。極端に濃度が高いと夏場にオーバーヒートしやすくなります。今回の作業ではスピードスプレイヤーのラジエータ容量は6リットル程のため、何も考えずに2リットルの1本丸ごと入れています。寒冷地の場合、最低温度に余裕をみた濃度にする必要があり、2リットルではやや不足する恐れがあります。
濃度が60%までなら濃度が濃すぎても支障ありませんので、薄くならないように注意します。
トラクター等で不凍液についてもメーカー指定がある場合がありますが、車用のものを使用しても問題ありません。
冷却水の予備タンク(リザーブタンク)がある場合、タンクを外して逆さまにして内部を排出し、濃度が最低気温を下回らないよう目分量でLLCと水を適当(基本はラジエター内の濃度と同一)に入れておきます。
紹介しているLLCは主成分であるエチレングリコールが95%の濃縮タイプです。市販品では希釈済みのストレートタイプも広く市販されています。
※2ラジエター洗浄剤の使用について
ラジエター洗浄剤を使用すると、内部の腐食などが除去されることで新たに補充したLLCの性能(防錆性能)が向上する効果が期待できます。しかし、老朽化が激しい古い機械では、洗浄剤を用いた弾みで腐食により薄くなったラジエーターに穴があくなどのトラブルの可能性もあります。このため、特に古い機械で洗浄剤を使用することを管理人はすすめていません。
洗浄剤を使用した場合、使用後に薬剤が残らないように十分に濯いでからLLCを補充します。
※3廃棄するラジエターのLLC(クーラント液)について
LLCの主成分であるはエチレングリコールは有毒です。排出したLLCは固めて燃えるゴミや車屋等で処分してもらいます。詳しくは「LLC(クーラント液)の廃棄・処分方法」へ次ページ:ラジエーター液(LLC)の色の違い
※4ラジエーターの洗浄回数について
ラジエターに古いLLCや防錆剤の種類が異なるLLCが残っていると新しいLLCの防錆性能が低下します。水道水を給水しエンジンを始動して15分程度たつと、冷却水が温まりポンプが起動することでエンジン内部の冷却回路も洗浄することができます。同じLLCを使用し、排水に錆の発生がなく定期的に交換していれば洗浄は1回で十分です。しかし、防錆剤の全く異なるLLCを使用する。定期交換をせず、排水に錆が混じっている。など状態が悪ければ2~3回(5回すれば十二分)洗浄作業を繰り返します。
余ったLLCについて
LLCは使用により高温に曝されることで劣化(主に防錆性能等が低下)します。希釈前の濃縮された状態や、希釈済みで市販されるストレートタイプの余ったLLCは、開封したことで多少の酸化による劣化がありますが、再び蓋を閉めて密閉しておくことで長期保管することができます。