外れないナットの外し方
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・使用資機材
・ガストーチ(バーナー)
・コンビネーションレンチ
・ハンマー
・金属ブラシ
・浸透潤滑剤(クレ5-56)
バイスプライヤー(写真から2個目)は本ページでは使用していません。
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・固着したナット
取り付けから10年以上が経過したナットのため、ネジ山が腐食し、金属部が癒着したいます。
写真はトラクターのロータリーの腐食したナットです。
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・コンビネーションレンチ又はメガネレンチ
比較的大きな力を加えることができる適合サイズの丸いレンチで緩めます。
緩めるとき、緩める方向と締め付ける方向の交互に力を加えて徐々に可動範囲を増やします。
全く動かない場合は、更に別の方法を併用します。

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・ハンマーの使用
ハンマーを使用して固着したナットに打撃を加えます。打撃による衝撃で内部の固着した箇所を剥がします。
打撃はナット部又はボルトの傘に対して行います。四方から打撃を加えて後、メガネレンチ等で使用します。※1
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・浸透潤滑剤の使用1
浸透潤滑剤を適切に使用するために錆ついたねじ山部。座金(ワッシャー類)を金属ブラシで錆を落とします。
錆を落とすことで浸透潤滑剤が浸透し易くなる。座金やボルトとナットの境界線が判り易くなります。
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・潤滑剤の使用2
浸透潤滑剤としてクレ5-56を使用します。
浸透潤滑剤の油分は、ナット表面に付着すると削り油の役割によりレンチで大きな力を加えることができなくなります。ナット表面にかからないように使用量と使用する箇所に注意します。
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・潤滑剤の使用3
クレ5-56をナットとボルトの隙間。座金(ワッシャー)の部分にだけかけて数分程度馴染ませます。掛けすぎて工具を当てる部分に油がついた場合、パーツクリーナーで部分的に洗浄する。トーチの火で炙って油分を燃やす等して除去します。※2
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・潤滑剤の使用4
浸透潤滑剤が十分に馴染んだころにメガネレンチ等の適切な工具で力を加えます。
これでも外れなければ、ガストーチを使用します。
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・ガストーチの使用
ハンドタイプのガストーチでナットを炙ります。
基本的に炙り時間を長くする(高温にする)ほど、熱による膨張が大きくなるため、固着が外れて緩みやすくなります。
ガストーチで炙った後に、浸透潤滑剤を使用すると熱膨張で出来た隙間に浸透潤滑剤が入りやすくなる相乗効果が生まれます。※3
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・外した箇所
推定約20年が経過していたたため、ボルトの先端。及び座金がの設置していた箇所が錆びていました。
ボルト・ナット・座金共に廃棄し、新品(トラクター爪用)と交換します。
・その他
ナットが外れない時のこの他の方法として、ナットブレーカー(ナットクラッカー)を用いてナットを割る。グラインダーを使用して切断する等の方法があります。
但し、ナットクラッカーはステンレスボルトや焼入ナットには使用できません。
※1 ハンマーの使用
ナット等へのハンマーでの打撃は、衝撃により他の部位が壊れないよう注意が必要です。本ぺージでは、打撃影響が伝わるのが丈夫なトラクターのロータリーのため大きなハンマーで強気に叩いています。例えば、ドラムが一回り小さいハンマーナイフモアであればハンマーを小さい物にするなど打撃に加減が必要です。
※2 パーツクリーナーについて
パーツクリーナーは、1本200~400円程度で市販される強力な脱脂作用(油分除去)のあるスプレーです。
※3 ガストーチの使用について
ガスの炎により高温になるため、使用する場所には注意が必要です。基本的に金属部位は高温に曝されると脆くなるため、加熱する箇所は可能な範囲で緩めるナットとネジ部に絞ります。
熱が伝わる範囲に熱で破損する箇所がある場合は、ガストーチは使用できません。
写真ではロータリーの端の刃で使用していますが、ロータリー付根の内部にはベアリングやグリス。これらを密閉するシール等が使用され熱に強くありません。作業では余分な箇所を加熱しないよう注意して行っています。
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