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- フリーナイフを固定するナイフドラムに塗装剥がれや摩耗が発生している場合、錆や摩耗による深刻な状態とならないよう塗料により防錆を行います。防錆塗装では、可動部となるフリーナイフの取外しが必要となるため、ナイフ交換時に行うと効率的です。
ナイフドラムは負荷が大きいため、強く密着するタッチアップペイントや油性のシャーシブラック等による塗膜により保護します。
塗膜は摩耗が発生している箇所に対する防錆だけでなく、摩耗を僅かながら保護することができます。
ナイフドラムの両端などドラムの回転によりフリーナイフの取付ボルト・ナットが摩耗している場合、摩耗が大きくなり取り外しが困難とならないよう必要に応じて取付ボルト・ナットの交換を行います。
・ナイフドラムの防錆
ナイフドラムは防錆を含めて高い耐久性を有している部位です。このため、使用環境によりますが塗装による防錆を無理に行う必要はありません。
点検・清掃時等に塗膜の破れによる広範囲の錆の発生。摩耗により部分的に金属が擦り減っている(痩せている)場合、防錆と摩耗の軽減を目的として塗料による防錆を行います。
通常の防錆では、長期の保管前に高圧洗浄機等で汚れをよく清掃し、完全に乾燥させ、全体(フリーナイフやカバーを含める)にスプレーグリスやスプレーオイル等を十分に吹きかけることで防錆を行うことができます。
・摩耗が発生する箇所
・フリーナイフの取付部
フリーナイフの取付ボルト等に緩みがあると、ガタつきにより擦れることで取付穴やナット、ボルトの傘が当たる部分に摩耗が発生します。
・ナイフドラム両端のフリーナイフの取付部
固定されている側面カバーに近いナイフドラムの両端は、カバー側面に付着し堆積した土等により、ナイフドラムの取付部やフリーナイフの取付ボルト・ナットが摩耗します。
・防錆塗料
・使用機材に必要な用具
防錆、耐摩耗目的の塗料として使用します。塗料は付着性が高く耐久性の高いものが必要であり、シャーシブラック(油性)やタッチアップペイント等を用います。
本ページでは、安価に入手できるシャーシブラック(油性)を使用してます。
・新聞紙、養生テープ
塗料をかけたくない場所の保護等に使用します。
・交換用取付ボルト、ナット
取付ボルト・ナットが摩耗している場合の交換用として使用します。
・金属ブラシ、サンドペーパー
既に発生した錆の除去に使用します。
・スプレーグリス
フリーナイフや塗料を使用しなかった箇所の防錆に使用します。
ナイフドラムの防錆と摩耗対策
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・錆と摩耗が発生したフリーナイフの取付部
ナイフドラムのフリーナイフ取付部の凸部と、フリーナイフの取付ボルト・ナットが摩耗により地金が露出し錆が発生しています。 -
・フリーナイフの取り外し
塗装したい箇所の可動部となるフリーナイフを取り外します。 -
・摩耗した取付ボルト・ナット
ナイフドラム端の取り外した摩耗した取付ボルト・ナットです。再使用すると取外し困難となる恐れがあるため、新品に交換を行います。
また、ボルト・ナットが摩耗することでフリーナイフ取付部の凸部守られているという部分もあります。 -
・シャーシブラックによる塗装
可動部となる側面を養生テープで保護して塗装を行います。
塗装は薄く行い、乾いてから再度2~3回重ねかけを行います。 -
・塗装した凸部
摩耗により地金が露出した箇所がシャーシブラックによる保護されました。
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・フリーナイフの取付と防錆処理
作業のため外したフリーナイフを取り付けます。摩耗したボルト・ナットは新品を使用します。
取付後、フリーナイフ等の防錆のため、スプレーグリスを全体に吹きかけます。
・作業上での注意
ナイフドラムなどは事前に洗浄し、完全に乾燥させておきます。油分などが残る場合、作業前にパーツクリーナーを使用して油分も除去してから作業を行います。水分、油、汚れが残っていると、塗料の付着が悪くなり効果が大幅に低下します。
シャーシブラック等の使用では換気の良い場所で作業を行い、適切に保護具(マスク、保護メガネ)の使用が必要となります。
フリーナイフの再取付する際、バランスが乱れるとナイフドラムの故障の原因となります。全数交換や全数反転させるなど、フリーナイフ取付の基本を守った作業が必要です。
・シャーシブラックについて
シャーシブラックは車の下回りに使用する防錆塗料です。シャーシブラックは油性と水性があります。油性は速乾性で強力に付着するため、稼働部にかかると故障の原因となります。水性は乾くのに時間がかかりますが、稼働部にかかっても剥がれやすくトラブル原因となることが少ないです。ハンマーナイフのカバー内側の防錆では、作業に注意が必要ですが耐久性が高い油性による塗装が適しています。
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