- 農業機械メンテナンスナビ>共通メンテナンス項目>バッテリーのメンテナンス方法>農業機械用バッテリーと自動車用バッテリーの違い
- 車や農業機械に広く使用されている鉛の充電バッテリー。同じ働きでありながら車用と農業機械用のバッテリーが別に市販されています。バッテリーの型式が同じであれば車用も農業機械用も電気的には同じ性能です。しかし、農業機械用のバッテリーは、本体は振動に強い設計。土や埃で目詰まりし難い設計。液減りが少ない設計など過酷な条件下での使用が前提となっています。
農業機械用のバッテリーの特徴
農業機械用のバッテリーであってもメーカーにより多少の違いはありますが、主な特徴は次の通り。・振動に強い設計
正極板に鋳造式グリッド。極板群を樹脂固定にする特殊構造等による農作業時の振動に強い設計。
・土や埃で目詰まりし難い設計
外部からのスパーク(火花)をバッテリー内部に通さない防爆フィルターを内蔵した防爆液栓。
突出形状による土や泥による目詰まりし難い設計。
・液減りが少ない設計
農閑期の自己放電や減液の少ないカルシウム合金により液減りが少ない設計。
農業機械に求めらるバッテリー性能
一部の小型・軽量の農業機械を除くと、トラクターをはじめ多くの農業機械はディーゼルエンジンを搭載しています。このため、ディーゼルエンジンに対応したバッテリーが搭載されています。車体の大きさで車(ガソリン車)等と比較すると、農機は車体の大きさに対してバッテリーは大容量となり、容量に応じて金額が高めとなるものが使用されています。
これら求められる性能(容量)に加え、農業機械用のバッテリーは、車用と同じ型式であっても特殊な構造により割高となっています。
単にバッテリーの電気的な性能だけであれば、車用であってもバッテリーの型式が同一であれば電気的な性能は満たすことができます。
農業機械に自動車用バッテリーの取付けについて
バッテリーは車用であっても、容量(型式)が同じであればトラクターをはじめ多くの農業機械に取付けることで動かすことができます。実際、我が家の中古で購入したトラクターは車用のバッテリーが使用されていました。しかし、本来バッテリーは振動に強いものではなく、農業機械用バッテリーはこの振動問題をはじめとした問題点を改良した製品です。車用バッテリーを使用したことによるバッテリー本体の故障や寿命の低下の懸念。農閑期等の長期未使用期間におけるメンテナンス(頻繁な始動、端子の取外し、定期的な補充電の実施)等を考慮すると、これらの問題に強い専用品を使用することをお勧めします。
また、多少割高といっても農業機械のバッテリーは専用品を適切に使用すれば条件次第で7年程度(7年以上)使用します。長期的に見ると、車用の安価の粗悪品な物を3年程度で交換。メーカー品であるが管理が疎かな状態での使用等であれば、長いサイクルで使用できるので金額差それほど差がない場合もあります。
この他、自身で購入して交換する場合、販売店舗は農業機械に車用バッテリーを使用(農業機械用を車に使用)すると用途外での使用として、保証期間内でも不具合が発生際に保証の対象外としている場合もあります。
農業機械のバッテリー
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・密閉型のカルシウムバッテリー
農業機械の新車時に搭載されていたHEXA(ヘキサ)の密閉型カルシムバッテリー。液減りが少なくメンテナンスフリー(液補充不要)でインジケーターにより充電状態が確認できる設計です。
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