- 農業機械メンテナンスナビ>ハンマーナイフモアのメンテナンス方法>ナイフの交換方法と点検
- 摩耗によりすり減るフリーナイフの裏表の入れ替えや新品への交換を行います。ナイフは裏表で2回使用することが出来ますが、片面の使用で摩耗し過ぎる。変形や破断などすると全数交換が必要となるため、刃の残り多少あっても勿体がらずに早めの裏表の入れ替えがお勧めです。
・使用する資機材
・17mmコンビネーションレンチ
・17×19mmラチェット
取付けボルト等は癒着により固くなっているため、舐めて取外しに失敗しないようナットやボルトの傘を覆うことが出来るラチェットやメガネレンチ等を使用します。
コンビネーションレンチは、片側メガネと片口スパナが一体となった物です。
機種により取付けボルトのサイズや使用工具のサイズが異なる場合があります。
・交換用の替刃、取付ボルト
ハンマーナイフモアは、刃の欠損が起きると回転バランスが崩れ異常振動により回転ドラムに深刻な故障を招くため、欠損時には速やかに交換が必要な機械です。刃の裏表の交換や点検だけでなく、使用の際には交換刃と取付ボルト1台分用意しておくことをお勧めします。
・紹介に使用した機種
ハンマーナイフモア 共立(オーレック):HR663
フリーナイフ個数:38枚(19組)
純正品ナイフ品番:80-1610-821-00
ナイフサイズ:長さ105mm、幅31mm、厚さ4.5mm、穴径10mm、重量98g
取付ボルト:全長43mm、傘系17mm、軸10mm、傘部厚み8mm、ボルト足35mm(軸部22mm、ネジ部13mm)(純正品の取付けボルト寸法は管理人による測定)
ナット:ゆるみ止めUナット式、傘系17mm、厚み9mm(純正品のナット寸法は管理人による測定)
・交換用に用意したフリーナイフ等(社外品)
購入先:株式会社くぢらレーベル
商品概要:国産、新潟県三条市生産(純正品ではなく社外品です。)
ナイフサイズ:長さ105mm、巾(刃先幅32mm、29mm)、厚さ4.5mm、穴径10mm、重量105g(重量は管理人による測定)
セット取付ボルト:全長43mm、傘系17mm、軸10mm、傘部厚み8mm、ボルト足35mm(軸部21mm、ネジ部14mm)
ナット:ゆるみ止めUナット式、傘系17mm、厚み9mm(厚みは管理人による測定)
販売サイト:
・楽天市場店 100パーセント農家!くぢら
・Yahoo!店 100パーセント農家!くぢらYahoo!店
購入では機種名で選択し、「替刃&取付けボルトセット」1台分と、刃の裏表入替時に痛んだボルトの交換用予備として取付けボルトを4本程を纏めて購入しておくことがお勧めです。
・社外品のフリーナイフの使用について
交換に使用するフリーナイフは、メーカー純正品が指定され、社外品の使用は故障や事故でのメーカー保証の対象外となります。しかし、社外品の交換ナイフであってもサイズ等の規格が同じであれば問題なく使用することが出来ます。
社外品は使用環境に合わせた材質の違いなど種類がある。同等品では純正品と比較して価格が安いなどメリットがあります。社外品の使用については、自己責任でご利用ください。
フリーナイフの交換と点検方法
-
・交換に使用する資機材
・17mmコンビネーションレンチ
・17×19mmラチェット
取付けボルトの着脱では、舐め防止になるべくナット全体に力を加えることができるソケットやレンチ等を使用します。 -
・交換用のフリーナイフとボルトセット
刃やボルト等の摩耗や欠損に備え、1台分の交換刃等を用意しておきます。
-
・フリーナイフ純正品と社外品
・写真下が取り外した純正品
・写真上が交換用に購入した社外品
当該機種に対応した社外品というだけあって、見た目による遜色はありません。
しかし、見た目が同じでも重量や耐久性等の違いから混ぜて使用することは出来ません。 -
・取付けボルト等純正品と社外品
・写真上が取り外した純正品
・写真下が交換用に購入した社外品
各寸法がほぼ同じ見た目による違いはありません。 -
・刈刃交換スタンドを下げる
ピンを2本外して、ロータリーカバーを持ち上げた状態で刈刃交換スタンドを下げ、ピン1本を使用して固定します。 -
・フロントカバーを上げる
フロントカバーを上げて、刈刃交換スタンドから外したピン1本を側面にさして固定します。
-
・フリーナイフの点検
作業前にフリーナイフ全数を目視で点検します。
ナイフの途中折れ等の大きな欠損や変形がないかを確認し、1本でも大きな欠損や変形があればナイフの全数交換となります。 -
・ナイフの取外し
ボルトの傘部に共回りを防ぐためのレンチをあてます。ナット側にラチェット等で力を加えて緩めて取り外します。
ボルトを抜くとナイフが外れます。
取付時も同じ要領(ナット側に力を加える)で締め付けます。
ナットが外れない時や、なめたナットの外し方はページ下部を参照※1 -
・回転ドラム端のナイフの取外し
端に取付けられたナイフは、スペース的にメガネスパナやラチェットが入らないため、片口スパナを使用します。
端側は側面に付着した土などでナット本体が摩耗し易い箇所です。ナットに無理な力が加わらないよう、状況に応じれボルト側をラチェット等で力を加えて緩めます。 -
・外したナイフ
同じ機械取り外したナイフの使用面と未使用面です。使用した面が摩耗し丸くなっているため、裏表の入れ替えを行います。
-
・摩耗した取付ボルトなど
回転ドラムの最も両端に取付けられていたナイフの取付ボルトとナットです。
側面部に堆積する土等により、ナット及び取付ボルトの先端ネジ部が摩耗し大きく痩せていることから、新品に交換します。(ボルト、ナット1組で300円程です。)※2 -
・裏表入れ替えたナイフ(回転ドラム)
ナイフ全数の裏表の入替。両端の2組の取付けボルト・ナットを新品にした回転ドラムです。
-
・ナイフ、ドラム等の防錆
使用せずに長期保管する場合、刃の交換等の後にグリススプレーを吹き付け防錆を行います。
・ナイフの部分交換について
フリーナイフを取付けた回転ドラムは、作業中に高速で回転します。欠損により部分的に新品に交換する。純正品と社外品を混ぜる。その他、欠損を放置して使用するなど回転時のバランスが崩れる恐れのある交換等は行えません。バランスが崩れると異常振動が発生し、回転ドラム等が故障し多額の修理費が必要となります。
1、2枚のみ破断してどうしても部分交換したい場合、同じ種類(メーカ、材質など全て同一)の中古の刃が手持ちにあり、残る他の刃と同じ摩耗状況(形状だけでなく重量も)の物があれば部分入れ替えを行っても支障がない場合もあります。しかし、リスクが大きいため自己責任で検討してください。
・回転時の異常振動について
刃の交換等を行っていなくても、回転時に異常振動を感じた時は速やかにナイフ等の点検を行い、原因の特定と解消が必要です。異常振動は、刃の摩耗による切れ味低下が原因ということもあります。
※1ナットが外れない時、なめたナットの外し方
定期的にナイフ交換を行っていれば苦労することが少ないですが、数年に渡り放置すると錆びて癒着して回らない。固くてナットがなめる。腐食によりナット等の角がなくなる等、外せなくなることがあります。外せなくなったナットの外し方については、共通メンテナンス項目>外れないナットの外し方 、 なめたナットの外し方 にて紹介しています。
※2 回転ドラム両端の取付ボルトとナットの摩耗
回転ドラムの両端は、カバー等の側面に作業により土や草が付着堆積し、取付ボルトとナットやナイフが摩耗します。作業後にカバー等の側面に付着した汚れを清掃することで、摩耗を防ぐことができます。次ページ:ハンマーナイフモアの異常振動原因と対策