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- 油圧ジャッキはゴム製のOリングが経年により劣化することで油漏れの原因となります。油漏れには劣化したOリングを交換することで修理することができ、油圧ピストンからのオイル漏れによる修理の方法です。
油圧ジャッキのピストン
油圧ジャッキ(ガレージジャッキ)のピストンは、シリンダーから支持台を上昇させるピストン(大)とハンドルを上下させることでシリンダーに圧力を加えるピストン(小)の2種類があります。
ピストン部のオイル漏れの大半がピストン(小)からです。使用時(荷重が加わった状態で支持台を上昇させるためにハンドルを上下する)にピストン(小)の根元からオイルが漏れてきます。
可動部であるピストンは、内部の油圧オイルの密閉にニトリルゴム等のOリングが使用されています。このため、正常時でも若干のオイル滲みの発生や、Oリングが劣化するとオイル漏れ(油漏れ)が発生する原因となります。
ピストンのOリング
ジャッキのピストン部の交換用Oリングはジャッキがメーカーものであれば純正品が販売されています。しかし、純正品はかなり高額や入手に取寄せなど時間がかかる。ノーブランド品では取り扱いがないなどします。
純正品以外の使用は自己責任となりますが、基本的にOリングの材質とサイズが同等であれば汎用品で問題なく使用することが出来ます。
本ページで修理を行っている油圧ジャッキは約30年前の製品。屋外(農機の長期保管用に下支えに使用)での使用のため表示が読めず型式やブランドが不明な油圧ジャッキです。
油圧ジャッキのオイル漏れ修理(ピストンOリング交換)
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・油圧ジャッキメンテンナンスの主な資材
・修理するジャッキ
30年もので各部位に汚れや腐食も多く、ピストン(小)からオイル漏れしています。
・交換用Oリング
汎用のニトリルゴム製Oリングセットです。
・簡易ノギス
Oリングのサイズ計測に使用します。
・ジャッキオイル
オイル交換や漏れ出た分のオイル補充に使用します。 など -
・汎用のOリングセット
ニトリルゴム製のOリング18サイズ、225個セットです。
ネット通販で500円程で入手できます。純正品と比較して破格ですが、使用は自己責任となります。 -
・カバープレートを外す
作業のためジャッキ上部のカバープレートを外します。ピストン(小)とハンドルホルダーを繋ぐピンが露出します。
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・ハンドルホルダーを外す
止めピン(クリップの用なパーツ)をラジオペンチで抜き、ハンドルホルダーとピストン(小)や油圧ジャッキ本体と繋いだピン2組を外します。
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・ハンドルホルダーを外した状態
接続金具がついたピストン(小)が油圧ユニットに差し込まれています。
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・リリースバルブを緩める
リリースバルブを緩め油圧ユニットの圧力を逃がします。リリースバルブが閉まった状態だと、ピストン(小)が外せても取付できない。オイルが漏れ出るなどの作業に支障をきたす場合があります。
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・ピストンの取外し
ピストンの接続金具を持ち、ピストンを引き出します。
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・ピストンのOリングとバックアップリング
ピストンに取付けられた黒いゴム製のOリングと、その上にバックアップリングの2個が取り付けられています。
バックアップリングはOリングを保護するパーツです。※2 -
・Oリングの取外しと計測
バックアップリングは交換品がないため傷つけないようにOリングを取外します。
Oリングの取付部は簡易ノギスの計測で約8mmです。※1 -
・取外したOリングの計測
Oリングの太さは約1.5mmです。※1
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・交換用のOリング
上に置いたのが取外したOリング。
Oリングセットの中で7×2mm、8×2mmが近似サイズです。 -
・Oリングを交換したピストン
汎用品の7×2mmのOリングを取り付けた状態です。
8×2mmのOリングを取り付けるとOリングの出っ張りが大きく、ピストンが油圧ユニットに入りませんでした。 -
・ピストンの取付
油圧ユニットにOリングを交換したピストンを取付けます。
Oリングが大きい(太い)とユニットにピストンが入らず、小さいとオイル漏れの原因となります。 -
・ハンドルホルダーの取付
外したハンドルホルダーとピストンのピンで繋ぎ元通りに取付を行います。
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・オイルの補充とエアー抜き
油圧ジャッキのエアー抜きを行い作業が終了です。※3
動作不良やジャッキオイルの不足があればジャッキオイルの補充や交換を行います。
オイル補充の詳しい方法は。「油圧ジャッキオイルの補充方法」へ
エアー抜きの詳しい方法は、「油圧ジャッキのエアー抜き方法」へ
本ページで使用したノギスは100均の簡易ノギスのため測定誤差が大きくあります。
正確に測るには正規の副尺のあるノギスや、デジタルノギスでの測定が必要となります。
※2バックアップリング
油圧ジャッキのバックアップリングは、Oリングを保護する役割があります。
油圧ジャッキがメーカー品であれば交換用パーツが販売されています。
※3あまりにも古いジャッキの修理
本ページ修理した油圧ジャッキは、オイル交換などメンテナンスをせずに30年以上使用し、ピストンからオイル漏れが発生したことで修理を行っています。
あまりに古い油圧ジャッキのため、交換したピストンのOリングの他、その他のOリングやシール、ジャッキオイルなども既に寿命を超えています。このため、メンテナンスによる故障を誘発を防ぐために極力状態を変えないよう、オイル補充とエアー抜きのみ行い修理を完了しています。
通常のメンテナンスでは、Oリングなどを交換した時に合わせてジャッキオイルの交換を行うことをおすすめします。
・Oリングのサイズについては
Oリングは規格や材質。使用目的や使用環境ににより専門的には非常に多くの種類があり選択は難しくなります。このため本ページのジャッキオイルなどに使用するシール目的に使用されるOリングについて選択する時は、外圧や内圧、回転使用などの目的により選択します。・外圧用
内径が内側に密着するようにする。
・内圧用
外径が溝の外壁に密着するようにする。
・回転使用
内径の軸径より大きくする。
油圧ジャッキのピストンでは、内圧からのジャッキオイルが漏れるのことを防ぐのが目的になります。
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